年末年始に読みたい!未来の教育を考える書籍10冊: 前半編

メリークリスマス!今年はクリスマスが週末で、来週は仕事納め。お子様も冬休みに入り、クリスマスにワクワクしながらも、年末年始の準備に追われている皆様も多いことかと思います。

その一方、お正月明けのお休みでは、2017年どんな一年にしたいかを考えたり、新しい目標をたて始める時期ですよね。そこで、今注文をしておいて、お正月にゆっくり読んでみたい、もしくはお子様と一緒に楽しんでみたい本10冊を、私の独断と偏見で5冊選んでみました!未来の話から、じっくり取り組むこと、そして今すぐ効果を実感できることなど、異なる魅力をもつ10冊。気になる一冊が見つかるようであれば幸いです!

前半編は、中長期的な視野を持った子育てのために、ゆったり読んでみたい本をご紹介します。後半編では、子供と一緒に読みたい本を鋭意準備中です。皆様のオススメの一冊もぜひコメント欄で教えてくださいね!

#1 LIFE SHIFT(ライフ・シフト) 単行本 

先日、本著の著者のリンダグラットマン氏の来日記念講演会に参加し、LIFE SHIFT の骨子を伺いました。日本はあっという間に達成してしまいそうですが、未病医療が急速に進化する今、平均寿命として100年を捉える時代はすぐそこに来ています。現に、日本社会の平均年齢はすでに46歳となっています。

現在超高年齢化社会が進む日本では、今までの学校、就職、65歳以降の老後というシンプルな図式では、経済的にもライフスタイルとしても破綻することは容易に想像できます。
その長寿社会へのライフプランの考え方を変えることで、より楽しく充実した人生を送るヒントが本書には散りばめられています。

例えば講演会では、貯蓄、財産、年金といったTangible (目に見えた)資産だけではなく、生産性、バイタリティ、自己改革力、といったIngangible (目に見えない)資産を形成することが大切だとおっしゃっていました。グラットマン氏も、本書を含む著書作成のプロジェクトでは、彼女が今までに大切にされて来た交友関係を大切にしてきたことによる成果なのだとおっしゃってました。

家族で、100年時代に備えなくては、というあなたにオススメです。

著者:リンダ グラットン (著), アンドリュー スコット (著), 池村 千秋 (翻訳)

単行本: 428ページ

出版社: 東洋経済新報社 (2016/10/21)

#2: 未来のイノベーターはどう育つのか――子供の可能性を伸ばすもの・つぶすもの

全世界で2000回近く上映されている、21世紀教育についてのドキュメンタリー、Most Likely to Succeed の共同プロデューサーであり、世界中で教育問題についてのスピーカーとしても活躍されている、ハーバード・イノベーション・ラボ在籍のトニーワグナー氏による著書です。

World Economic Forum の「Future of Jobs (未来の仕事)」白書でも、近年急激にランクアップしているのが、クリエイティビティです。同白書によると、仕事で求められているスキルとして2015年に10位だったクリエイティビティは、2020年には第3位となると報告されています。

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同書は、現在イノベーターとして活躍している若者たちや、彼ら・彼女達の成長に関わった両親、教育者、グーグルやアップルなど独創的な企業の人材開発担当者などの取材を通して見えてきた、イノベーターを生み出した要因について紐解く書籍です。

 

トニー ワグナー (著), 藤原 朝子 (翻訳)

単行本: 320ページ
出版社: 英治出版 (2014/5/13)

#3 やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける

TED でも200万以上の視聴を持つ、元マッキンゼーコンサルタントで、現在ペンシルバニア大学で心理学の教授を務めるアンジェラ・ダックワーズ氏の著作です。

成功を分けるかどうかは、IQではなく、Grit(グリット)であるが、そのGritをどう育てるべきかについてはまだあまりわかっていないと、ダックワーズ氏はTEDトークでおっしゃってました。辞書で調べてみると、Gritとは、

「Grit (グリット)」
(困難にあってもくじけない)勇気、気概、闘志  by Weblio
 

であり、著者によると、長期的目標を達成するために必要な情熱と忍耐力ということだそうです。忍耐力と言えば日本人のお箱のようにも感じますが、Gritを構成する資質としては、他にも1)勇気、2)成果へのこだわり、3)やりきる力、4)不慮の出来事にも弾力的に対応できる人、コミュニティ、システムの力、5) 完璧ではなくエクセレンスを求める力、といったものがあるそうです。

学力・受験偏重を脱皮しようとしている今、よりGritをどう育てるかに関心が集まりそうです。第2章と第3章に、どのようにGritが伸ばせるかについてのヒントが散りばめられています。改めて、人生はマラソンだなぁと感じさせらられる一冊です。

参考記事(英文):
5 Characteristics Of Grit -- How Many Do You Have? (Forbes)

参考動画:ダックワーズ氏のTED講演動画

アンジェラ・ダックワース (著), 神崎 朗子 (翻訳)

単行本(ソフトカバー): 376ページ
出版社: ダイヤモンド社 (2016/9/9)

 

#4  作ることで学ぶ ―Makerを育てる新しい教育のメソッド (Make:Japan Books) 

世の中の大きな変化は、技術革新に由来しています。今起こり始めている第4次産業革命も御多分に洩れず、情報化社会の加速を担う人工知能、ロボティックス、ソフトウェア、IoTといった技術革新がもたらしています。

そんな時代を生きる子供達にとって、科学技術への興味関心と、クリエイティブなアイデアが受け入れられるように美しく形作る力を育む「STEAM教育 (科学、IT、エンジニアリング、アート、数学)」はとても大切だと筆者は考えております。

本書は、手を動かして学ぶことの大切さに止まらず、具体的な学習モデルについても提案がされています。教育理論の歴史から、具体的な施策についてじっくりと書かれている本書は、STEM教育や、STEAM教育に取り組みたい方々にオススメです。

Sylvia Libow Martinez  (著), Gary Stager (著), 阿部 和広  (監修), 酒匂 寛 (翻訳)

単行本(ソフトカバー): 400ページ
出版社: オライリージャパン (2015/3/25)

#5 センスオブワンダー

人工知能が人間を遥かに超える能力を身につけ始めている今、人間はより人間固有の能力を伸ばしていくことが求められています。その一方、20世紀に生まれた仕事の大半は、機械の方が最終的に得意になる単純作業が多かったことも事実です。

全身全霊で自然界の素晴らしさを 吸収できる子供時代に、自然の素晴らしさに感動し、畏敬の念を覚ることが大切だと、この秋出席した人工知能に関するセミナーでも、実際に人工知能やスーパーコンピューターを開発されているPezy Computing の斎藤社長からも伺い本書を思い出しました。

本書は、著者が毎夏を過ごした米国メイン州の海岸と森での体験について、著者が美しい写真も含め語りかけます。日本は全国にまだまだ美しい自然が残っています。アウトドアな2017年を迎える一歩として本書はいかがでしょうか?

レイチェル・L. カーソン (著), Rachel L. Carson (原著), 上遠 恵子 (翻訳)

単行本: 60ページ
出版社: 新潮社 (1996/07)