[書評]「NEW POWER」はこれからの世界をどう変えるか

FutureEdu Tokyo代表竹村がタトル・モリエイジェンシー「翻訳書ときどき洋書」にお薦めの洋書の書評を寄稿させていただいております。第5回目は『NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ』。日々変化している世界を読み解くヒントとなる「ニューパワー」と「オールドパワー」という枠組み、そしてパワーを活用していくうえで理解しておくべき「ニューパワーの価値観」と「オールドパワーの価値観」について豊富な事例を紹介しながら解説しています。


オリンピックに向けて、民泊が部分的に許可されていくであろうという予測のもと一気に広がりを見せていた Airbnb ですが、「見えづらい参入障壁」とも言える自主規制や、「管理人が10分以内の距離にいないといけない」といった法規制により、ホスト側が実質的に民泊から撤退するような流れがあるようです。

確かに我が家のマンションでも、実際は誰もAirbnb に登録していないのに、「知らない人が来るのは困る」と、民泊禁止条例が予防措置的に管理組合規則へ追加されていました。

また、一時期は鳴り物入りで始まったUberも、本丸のライドシェアではタクシー業界の規制に参入を阻まれ、特に規制のない宅配サービス、Uber Eatsの売上が牽引しているようです。

一部の権威のある人達により、多くの人々の生活に影響する物事が密室で決められてしまう。これは正に「オールドパワーモデル(「規則の順守」や「消費」のみを求めるモデル)」が勝ったと言えるでしょう。

シェアリングエコノミーという言葉が流布するわりに、既存の産業ではコワーキングスペースを除くと厳しい状況が続くようにも見える日本ですが、世界的な流れとしてはソーシャルメディアが普及し、市民一人一人が世界中に発信する術を手に入れているように見えます。今や群衆は中央集権的、権威主義的な力と拮抗する、もしくは超える力を持ち始めているのでしょうか?

また、「ニューパワー」と「オールドパワー」は使い分けられるべきなのでしょうか?

オンラインに頼りがちな「ニューパワーモデル」というのは長続きするものなどでしょうか?

ジェレミー・ハイマンズとヘンリー・ティムスによる、“New Power”は、「ニューパワーモデル(「参加」や「対等な関係」を促進するモデル)」と「オールドパワーモデル(「規則の順守」や「消費」のみを求めるモデル)」、「ニューパワーの価値観」と「オールドパワーの価値観」の4象限に分け、それぞれの象限の特徴や、複数の象限を使い分けて成功した例や、知らず知らずのうちにポジショニングが変わったために支持を失ってしまった例など、豊富な事例を紹介し、これらの問いについて解像度を上げてくれています。

つづきはこちら・・・https://bit.ly/2WtoH9m

出典:タトル・モリエイジェンシー「翻訳書ときどき洋書」(https://note.mu/tuttlemori

書籍販売サイトはこちら (Amazon.co.jp にリンクします):"New Power: How Power Works in Our Hyperconnected World--and How to Make It Work for You" (洋書/キンドル版)『NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ』(翻訳書)

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