年末年始に読みたい!未来の教育を考える書籍10冊: 後半編

遅ればせながら、明けましておめでとうございます。新たな気持ちで2017年を迎えられた方も多いかと思いますが、後半編は、お子さんと一緒に読みたい、楽しみたい本5冊を選んでみました。小学生をお持ちのご両親にお勧めしたい書籍が中心となっております。みなさまのオススメの一冊もあれば、是非教えて下さいね!

#6: 学校では教えてくれない大切なこと 〜 1 整理整頓

年末の大掃除では、お子さんも整理整頓に励まれたでしょうか? 普段の生活で、子供達が家を出る直前に、上履きがない!、とか宿題のプリントがない!なんてご経験もきっとありますよね。 大人も「断捨離」や「人生がときめく片付けの魔法」がベストセラーになるなど、整理整頓というのは身に付けるのに時間のかかるライフスキルです。どうやら社会人になると、年間150時間もオフィスで探すことに時間を費やしてるそうです。かくいう私も、自分を含め、家族が探す時間をいかに減らせるか、どうやったら快適な居住空間にできるかということには日々頭を悩ましています。

そんな中、娘が学校の図書館から借りて来た一冊がこの本です。子供にわかりやすい漫画ストーリー展開で、整理整頓の3つの心得、決める力、まとめる力、続ける力という3章で構成されていますが、大人が読んでもふむふむとうなづく内容が詰まっています。この年末は、この本のおかげで、子供達のおもちゃや引き出しの整理をスムーズに進めることができました。

Amazon.co.jpの書籍紹介によると、整理整頓を子供達が主体的に行えるようになると、判断力、考える力もつくのだとか。正に21世紀教育でも求められている力のベースを、生活の中で育めるということでしょうか。そんな一石二鳥の整理整頓、是非親子で取り組んでみて下さい!

「ものごとを順序立てて考える力」「計画的に行う力」「重要なものと無駄なものを判断する力」などなど。
その力は皆さんに「時間」という宝物を誰よりも多く与えてくれるのです。

旺文社(編集)、入江 久絵 (漫画/イラスト)
出版社: 旺文社 (2015/7/17)
発売日: 2015/7/17

#7: 小学生からのロジカルシンキング

この本との出会いは、Sony Global Education さんのサイトでのオススメ書籍に掲載されていたことがきっかけでした。私は社会人になってから経営コンサルタントという仕事の中でロジカルシンキングについて徹底的に鍛えられましたが、その経験は、留学時やその後のキャリアでもとても役にたっています。どちらかというと空気を読むなど曖昧さを大切にする日本文化ではありますが、日常の中でも少しずつお子様達の中にロジカルシンキングのスキルが芽生えて鍛えられていくと、社会に出た時に重要な土台作りとなることかと思います。

本書の出版は2011年で残念ながら中古でしか手に入らないようですが、他にも論理的思考を鍛えるパズルドリルなどは最近多く出版されているようです。親子で取り組んでも楽しい頭の体操的な問題もある論理パズル。宿題で忙しい日々の合間に、箸休め的に取り組んでみてはいかがでしょうか?

本書は他のドリルと比べると、ロジカルシンキングについて、5つの力(仮説構築力、分類・分解力、論理の穴に気づく力、反論を予測する力、効果的に伝える力)を明確化し、それぞれに該当する例題によって、具体的にどのような課題で取り組めるのかが記述されているので親にとってはとても参考になります。ただし、問題の難易度が高めで学年ごとの例題は少なく、出題内容もどちらかというとドライなので、低学年のお子さんと継続するには親の工夫やアレンジが必要かなという印象です。

著者:苅野 進
出版社: ソフトバンククリエイティブ (2011/3/3)
発売日: 2011/3/3

その他ロジカルシンキングを鍛える他のドリルをいくつか参考例として挙げておきます。これらのドリルはどちらかというと、1ページ1題のパズル的な問題が主体となっているようです。:

#8: マララ 教育のために立ち上がり、世界を変えた少女

日本の小学校では、第二次世界大戦を中心とした平和教育が中学年からありますが、現代社会で今起きている紛争や混乱、不平等な状況についてはあまり触れられていない様に感じ、本書を購入しました。

グローバル教育というと、やもするとイコール英語の早期教育という話になりがちですが、世界を知るということは、多様な国の文化やおかれている状況の違いを知ることがスタートだと思います。学校に行くことが当たり前の日本で、そうできる事を命をかけて訴えなくてはいけない国があるということを子供達が知ること、そしてマララさんの様な勇気のある子供達へ思いを馳せる経験を少しずつ積んでいくことは、将来国際社会の一員として行動できる大人になるために貴重な財産となると思います。特に、昨今女性活躍というキーワードが聞こえますが、子供達にとっては男尊女卑というのは理解できない世界です。特に女の子には、この様な不条理がまだまだこの世に存在しているということを、まずは遠い世界から知るというのも有益なのではないでしょうか?

またISISも暗躍する今、イスラム教を単一的にネガティブに捉えることは避けなければなりません。マララさんの話は、現代世界で我々が知っておくべき様々な大切なテーマに触れています。重たいトピックではありますが、ご家庭の会話で取り上げることで、正しい知識や安全な環境でのディスカッションの練習になるのでは。

マララ ユスフザイ (著), パトリシア マコーミック (著), 道傳 愛子 (翻訳)出版社: 岩崎書店 (2014/10/29) 発売日: 2014/10/29

#9: 日本の神話

子供と一緒に楽しむおとぎ話の時間は、親子の至福の時間の1つではないでしょうか?我が家では、日本昔ばなしが大好きで、時々せがまれては懐かしいお話を読んでいます。そこで、今年はチャレンジしてみようと思っているのが日本の神話です。昔ばなしと比べると読みにくさはありますが、日本文化の根っこを担う日本の神々についての話も子供の頃に楽しめると神社の捉え方も変わってくるのではと期待しております。

探してみたところ、児童書でも大好きな松谷みよ子さんが書かれた神話が二冊見つかりましたのでまとめてご紹介します。

著者:松谷みよ子、司 修(挿絵)

出版社: のら書店; 新装版 (2001/04)

発売日: 2001/04

著者:松谷みよ子

出版社: 講談社 (2010/10/21)

発売日: 2010/10/21

#10: モモ (岩波少年文庫)

映画化もされているミヒャエル・エンデ の名作「モモ」は、ソーシャルメディアに忙殺されがちな現代社会の子供達にぜひ味わってほしい名作です。小さい時は、子供にとっての時間の感覚はとても曖昧で、今の瞬間瞬間を精一杯生きているものですが、小学校が始まり週の大半がスケジュールにより管理されていくようになると、本書の訴える本当に大切なことを見つめる重要性に気付かされます。

我が家では読み聞かせで大好評だった一冊です。低学年から楽しめますので、まだ読まれてないかご家庭には是非お勧めします。

ミヒャエル・エンデ  (著, イラスト), 大島 かおり (翻訳) 

出版社: 岩波書店 (2005/6/16) 

発売日: 2005/6/16

おまけの一冊:ピタゴラ装置はこうして生まれる

世界的に有名な「ピタゴラスイッチ」の生みの親である佐藤雅彦先生の講演会に年末参加したのですが、佐藤氏の創造力を生み出す方法の考え方にとても刺激を受けました。その「ピタゴラスイッチ」の個別解説ではなく、ピタゴラ装置全体を貫いている、「考え方」や「テーマ」の解説があるDVDブックということで、とても興味深い一冊です。


佐藤 雅彦 (著), ユーフラテス (著)

出版社: 小学館 (2016/12/5)

発売日: 2016/12/5

by Emi Takemura