アメリカ流、読書好きの育て方

アメリカの学校に娘が通い始めて3年目になります。一年生の初めから入学し、英語が全く喋れない状態からスタートして、3年生も後半戦に入りました。日本の学校、アメリカの学校、違いは沢山あるのですが、とりわけ大きく違うのが、Readingだと思いますので、その内容をご紹介します。

<基本的な考え方>

こちらの先生が口酸っぱく言うのが、Independent Reader にならなければいけない、ということ。これは、まず一人で読めるようになることもありますが、自分で読みたいものを選び、楽しみながら読むこと、また自らチャレンジしてどんどん難しい本にチャレンジしていくことも含まれます。
 
そのためには、学校ではあの手この手で本を読むようになるように仕掛けがなされます。大きくは以下の3つだと思います。
 
1)家庭でのリーディング
2)学校でのリーディング
3)ご褒美(!)


<家庭でのリーディング指導>

まずは、家庭でのリーディング指導から。アメリカの場合では、家庭でのリーディングを徹底的に指導されます。具体的には宿題として、毎日低学年では15分、中学年では20分のリーディングをして、読んだ内容とごく簡単な感想を出さなければなりません。
 
これは、、意外ときついです。特に私の娘の場合は、英語ができませんでしたので(今でもネイティブレベルではありません)、低学年のころは捕まえて横に座らせて読ませるだけでも難儀でした。でも、これを大変だといわず、やるかどうかで大きな差が出てきます。
 
なお、下の写真は、1年生のころ、地元の公立小学校で保護者に配られたReading Guideです。

このリーディングガイドは、ノンフィクションとフィクションに大きく分かれ、“Questions to ask your child while reading fiction(non-fiction) text”とあります。ここで、たとえばフィクションの場合は「どんな状況設定なのか?(setting)」「どんな問題があって、どんなふうにその問題は解決されたのか?」「主人公は物語の中でどのように変化していくのか?」「主人公とあなたはどんな共通点があり、どんな違いがあるのか?」などの例文があります※ 
 
なかなかここまで精緻な話し合いは親子ではできませんが、「読んでいる」ということを承認し、本の内容についていろいろお話しするだけでも、モチベーションが続き、読んでいけるようになります。 


<学校でのリーディング>
 

学校でのリーディングも、教科書がありませんので、プリントのような形で短い文章を精読していくものもありつつ、Reader’s workshopのような形でみんなで同じ本を読んでいく時間もある学校が多いと思います。
 
また特徴的なのが、「図書館の時間(Library)」が週に数回セットされていることです。この時には自分で好きな本を選んで、自由に読みます。この時間は、音楽や図工、体育と同じ位置づけの時間です。
 
また、クラス内でも、Differentiationという時間があり、課題が残っている子はそれをやり、終わってしまった子は好きな本をクラスの本棚から選んだり、自分の持ってきた本を読むことができます。ここで、「本を読むことはご褒美」「本を読むことはかっこいい」という価値観を備えつけられます。この辺の仕組みづくりに、子どもたちをIndependent Readerにしたいといいう気迫を私は感じます。
 
そして、低学年のころは、本を沢山読み進めれば、シールやご褒美がもらえたり、表彰されたりします。中学年になると子どもによって、リーディングレベルに差がついてきますので、それぞれの子に合った計画表をつくり、進捗を先生が個別に確認していくことになります。
 

 クラス内にある本棚(2年生)

クラス内にある本棚(2年生)

<どんな本を読んでいるか?>


 今、三年生の娘ですが、やっと・・学年レベルにリーディングが追いつきはじめました。(あともう一息です)
 
今読んでいるのは、こちらの小学生は大好き!チャーリーとチョコレート工場でもおなじみのRoald Dahlの“Matilda”です。娘の場合は新しいボキャブラリーもあるので、チャレンジとしてKindleの読み上げ機能の助けも借りながら読んでいます。

同時に、リラックスタイムとして楽しみで読んでいるのがこちら。日記形式の本です。“DORK diaries (和訳:ダサい子の日記)” by Rachel Renee Russel。やはり女子ですね(笑)男の子の日記形式の本もあります。

次は、日本語で読んでいて大好きなナルニア国物語の英語版を読もうかな、と計画しています。

そしてこういった本を読む前には、もう少し簡単な本を読んでいました。本当は、1年生から2年生の子が読むような本ですが、娘はついこの間までこのレベルでした。今、ぐいぐいとリーディングが伸びている時期のようです。

これが4年生、5年生になって、ハリーポッターなどをすらすら読めるようになると、ペースとしてはいい感じのようです。

そして、最後にオンラインのリーディング教材です。学年レベルに分かれ、内容も科学や歴史などのものをバランスよく配置し、読み上げ機能があり、最後に理解度クイズがあるという優れものです。これは学校でもやりますし、アカウントをもらって、自宅で読んでそれを宿題にしてもかまいません。どうしても好きなものだけにすると偏りがでるので、良い仕組みだと思います。
 
娘の場合は1-2年生の時には、Raz-Kids、今はReading Eggs を使っていますが、どちらもよいと思います。日本にいて、英語のリーディング力を高めたい場合は、このような教材を使うことをぜひおすすめします

 Raz-Kids の画面サンプル。出典:https://www.raz-kids.com

Raz-Kids の画面サンプル。出典:https://www.raz-kids.com

<最後に>


こうした読書習慣ですが、家族が放置していても、(それこそマチルダのように!)一人で読む子がいるにはいますが、私の子どものように、学校での動機付け、家庭でのサポートがあって習慣がついてくる子も多いかと思います。「家に本が溢れ、両親とも本を読んでいれば、子どもも自発的に読むようになる」などとも聞かれますが、私も夫も本の虫であるにも関わらず、娘は初めの頃は自発的になんて読みはしませんでした(笑)。小さなころからの読み聞かせから始まり、決して親にとって楽なことではありませんが、一旦ついた読書習慣は一生の財産だと思います。
 
なお、本稿を読まれている方が二か国語教育に興味があるかはわかりませんが、もし日本人として二か国語をマスターしようとすれば、並行して日本語の本も読んでいく必要があります。親としては、気の遠くなるような話ですが、日本語でしっかり本が読め、ボキャブラリーがあると、一旦読めるようになった後の英語の伸びが速いです。家庭それぞれで方針は違うかと思いますが、我が家の場合は、日本語が先にできており、現時点では日本語力に引っ張られる形で英語力を伸ばしている状況です。日本語と英語をどのように考えるかはかなり子どもにとって大きなことである一方、子どもが選べるものでもないので、親がしっかり考える必要がある、と自戒も込めて思っています。

※アメリカのReading/Writing の中で、特にfictionに関しては、子どもたちは、基本的に物語構造を学んでいきます。こちらは、クリストファー・ボグラーの「物語の法則」という本が非常に良い且つ、面白いので、ご興味のある方はご一読をお勧めします。

 

著者プロフィール:

藤原 さと: 一般社団法人 こたえのない学校 プログラムオーザナイザー・代表理事

日本政策金融公庫にて中小企業・新規事業融資に従事後、米国留学中に国際労働機関(ILO)のマイクロファイナンス部門で少額融資のスキームを調査。帰国後、ソニー(株)本社経営企画管理・戦略部門で、海外企業とのビジネスアライアンスに携わる。長女出産後ヘルスケアビジネスコンサルタントとしてミャンマーで女性のがん死因トップである乳がんの検診事業立ち上げ等を行う。2012年度都内区立保育園父母会長。2014年に「こたえのない学校」を設立。現在米国で子育て中。日本とアメリカを往復している。
慶應義塾大学法学部政治学科卒 
米国コーネル大学大学院公共政策学修士(M.P.A.)