(英文記事翻訳)オンライン学習に人間性を吹き込むための3つのヒント

本記事は、Edutopia に2020年4月1日に掲載された記事 “3 Tips for Humanizing Digital Pedagogy, by Paul France) の翻訳です。原文はこちら

現在学校に通えない状況が続く中、オンライン学習に注目が集まっています。子どもの可能性を伸ばすオンライン学習の取り入れ方はどうあるべきかについて、オンライン学習先進国のアメリカで、教育テクノロジーを開発する学校ネットワークに勤めた先生が伝える3つのヒントの記事がとても参考になるので翻訳してみました。オンライン学習というのは従来型の授業をいかにオンラインで実施するという発想から一歩下がり、どのように子どもの主体性や深い学びに繋がることが出来るのかと捉える事で、普段なかなか時間が取りづらい事にもトライして見るチャンスが生まれているのではないでしょうか?ご参考になれば幸いです。

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テクノロジーの活用は諸刃の剣です。とんでもない障害をくぐり抜けるためにパワフルで助けになる一方で、間違って運用されるとより多くの障壁を作る可能性があります。

私はトライアルとエラーでこれを思い知りました。3年間私は教育テクノロジーとマイクロスクールのネットワークのスタートアップで働きました。個別化されて、デジタル教育を活かす事で子ども一人一人の可能性を最大化する事が目的である一方、デジタルツールがとても人間性を脅かす影響があることを学びました。人間のつながりを削いでいき、多様性のあるグループで協働する機会を制限し、子どもが先生やクラスの友達にではなくスクリーンに向かうように仕向けてしまうのです。

今は学びにデジタルを取り入れざるを得ない状況です。一方で、個別化されたデジタル技術の人間性を削ぐ効果に屈することはないのです。生徒にアダプティブの学習ツールを使わせたり、自分の授業動画を無理やり見せる必要はないのです。遠隔授業の間も、人間性を維持するために、デジタルの教授法を人間らしくする方法があります。

1: 従来型の厳格なカリキュラムから、より振り返る学びへ:

このような時期は、アダプティブなどのデジタル教材の利用にとどまらず、よりオープンエンドな課題や複雑な指導、自習型の学びを取り入れるチャンスに見えます。これらのツールは、遠隔授業が管理しやすくなるだけでなく、プレイリストやアクティビティを作ることで、個別化が容易に可能性もあります。

しかし、先生方はこれらのアクティビティだけに終始してはいけません。遠隔授業のためにデジタルテクノロジーを利用しなくてはいけないですが、シーソーやグーグルドライブなどを使うことで、振り返りを投稿することも実現しながら、正解のない問い、複雑な学びや、自習型の学びにも素晴らしい時でもあります。

自習型の学びには、解法がいくつもあるような数学の課題をだすような方法もあります。もしくは、物語を読んで、いくつかの問いに基づいて感想や考えを述べることも良いでしょう。教科やルーブリックをベースとしたクリエイティブな作文もあるでしょう。

生徒が自ら課題を実施することに慣れてきたら、通常の授業で行なっているように、オンライン場でディスカッションや、発表を行い、クラスの仲間と学びを共有する機会を作る事ができます。

2. ディスカッションの機会を持つ:

より複雑なテーマを扱うときに生徒間のやりとりはとても大切になってくる。自宅学習の間に批判的思考を持ち考える努力をするため、複雑なテーマの指導の機会を最大限活かすためには、対話や会話の機会を持たなくてはいけません。ズームやGoogle Meet などを使うことで、クラスのディスカッションに似た状況を再現する事ができます。

深い学びには、ワークシートや、状況を伴わない学びの動画や、正解のある問いに答えことでは起きません。学びは対話なのです。学びには人間同士のつながりやインタラクションが必要です。デジタル技術に依存している中で学びの経験における人間性を担保するには、ビデオ会議のツールというのは共感を延長するために大切なのです。対面が不可能もしくは安全ではないときに、他者と繋がるためのツールなのです。

3. 内省の機会を作ろう:

現在の危機は、教育者や保護者だけでなくすべての人々にとって、学ぶとはどういうことかというのを振り返る機会を与えてくれています。学びは結果ではなくプロセスだということを思い出させてくれています。家庭にワークシートを送り続けることは、定着する意味深い学びにはなりづらいでしょう。

シーソーに内省のためのアクティビティを投稿しています。これらのアクティビティでは、”大声で考えよう”という動画をつけています。その動画は、読書についての正解のない問いや、数学のカリキュラムから選んだ解法がいくつもある数学の問題などが入っています。動画の最後には、いくつかの問題を取り上げて、動画での回答を録画して欲しいと伝えています。その回答には、1)どこがうまくいった、2)次はどうしたい、3) あなたの考え方は変わったか?という3つに答えてほしと依頼しています。学びは関わったアクティビティだけで始まるわけでも終わるわけでもないということを考えさせてくれるのです。今後の活動にも繋がるし、タスクへの内省を経ることで、新しく学んだっことを今後活かしていくのだという期待を理解してもらっています。

Written by Emi Takemura