著者インタビュー:「自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方」<後半>

「自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方」の著書、島村華子先生のインタビュー後半です。前半はこちらからご覧ください。

コロナの影響による登園自粛や子どもたちの自宅で過ごす時間が増える中で、私たち大人は増えつつあるスクリーンタイムをどう捉えたら良いのでしょうか。また、子どもたちの行動が制限される環境の中で環境変化に対してとても敏感になっている子どもたちも増えていると聞きます。後半ではそのような背景から島村先生に、まず大人が今のような制限のある環境下で、どう子どもたちと向き合っていけば良いのかについてお伺いしました。また、子育てのビジョンを持つことが大切というメッセージや最後にどのような方に著書、「自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方」を読んで欲しいと思われるかについても伺いました。

Q7) コロナの影響により、1日におけるスクリーンタイムが圧倒的に増えてしまったご家庭も多くあると思います。このような環境の中で家庭でも柔軟に対応できる方法はありますか?

島村先生:

コロナの影響で外に自由に出歩くことができない分、スクリーンタイムが増えているおうちは多いですよね。特にスクリーンタイムをできるだけ避けてきたご家庭からすれば、このスクリーンタイムの増加が果たして大丈夫なのか不安に思われるかと思います。

ただ、コロナの状況で場合によっては、子どもたちもお友達や先生に会えない悲しさやストレスを感じているほか、大人のストレスが子どもの心にも不安を与えていることが予想されます。テクノロジー自体、子どもたちにとっては学びだけではなく、大好きな人たちとつながるための手段としても使用されています。これを踏まえて、テクノロジーは共存していく生活のツールと捉え、肩の力を抜いてください。もちろんスクリーンタイムが睡眠や体をアクティブに動かす時間に大幅に侵食したり、感情のおしゃぶりとして使われないようにするために、各家庭で大枠のスケジュールやリミットを設ける必要はあります。

ただ、スクリーンタイムは「完全悪」であると敵視する気持ちは取り払った方が大人も楽です。次にスクリーンタイム以外でおうちで遊べる方法を子どもとブレインストーミングしてみましょう。大人が常に子どもをもてなす必要はありません。子どもの「つまらない」状況を無理やりアクティビティで埋める必要もありません。このいわゆる「退屈」な時間こそ、子どもたちが自由遊びを模索しながら自分たちのクリエイティビティを発揮するときと捉えてみましょう。

最後に、大人自身がスクリーンタイムに関する健全なロールモデルになりましょう。どれくらいの時間、大人もスクリーンに費やしているでしょうか。スクリーンタイムから大人も休憩を取って、家族団らんや一緒に散歩する時間を持つなど、家族がつながる時間を持つことは子どもの精神衛生にも重要です。

Q8)最近、敏感な子供たちと言われているHSC(Highly Sensitive Child)に関連する書籍も多く出版されていたり、またコロナの影響で敏感になっているお子さんも多いと聞きます。何かアドバイスはありますか?

島村先生:

Highly Sensitiveな特性を持つ子どもたちについてのは専門ではないので、あまり特定的なことは言えませんが、ただ基本的にHighly Sensitiveな特性を持つ子どもたちは、人一倍共感力が強かったり、周りの気分に影響をダイレクトに受けてしまうという特徴を考えると、やはり大人の心持ちが重要になると思いますつまり、大人が子どもに対してどういうイメージを持っているのか、そのイメージがいかに自分の行動と相手の行動解釈に影響を与えているのかについて大人が子どもの見方を見直すだけでなく、高い意識を持つ必要もあると思います。

敏感な特性を「こだわりが強い」「環境変化に対応できない」などと、ネガティブなものとして捉えてしまっているのか、あるいは「自分軸を持っている」「新しい環境では観察力を働かせている」と捉えることができるかは、「子どもへのイメージ」次第ですよね。行動の解釈は大人の色眼鏡によります。人一倍敏感な特性があっても、そうでなくても、一人ひとりの子の特徴を大人軸の善悪で勝手に判断しないためにも、まず大人が自分の偏見を内省することが何より大事だと思います。

インタビュアー:

著書の中に無条件子育ての原則の中で「子どもにとって良きリーダーでいる」という項目がありましたが、コロナの中、様々な制限があり大人自身もストレスを感じる場面が多いかと思いますが、そのような中だからこそ、改めて大人が子どもに対して、自身の考えや行動を見直す良い機会になりそうですね。

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Q9) 子育ての「長期的なゴールを持つ」と言うお話がありましたが、具体的に各家庭で長期的なゴールを定期的に考えてみるなど、長期的なゴールをどう考えるのが良いでしょうか?

島村先生:

それぞれの親御さんが抱いている、「こういう大人になってほしい」という全体像をパートナーと話してみるというのは大事です。もちろん、実際に子どもが将来的にどういう選択をするのか、子どもにとっての幸せはなにかというのは子どもが決めることなので、大人が口出しするところではないですが、普段の自分たちの接し方がいかにその長期的なゴールに役にたっているか、あるいは矛盾しているのかを考える基点になります。

例えば、自分で考えられる人になってほしいと思っているのに、いま子どもの問題をすべて勝手に解決してあげてしまっているとしたら、果たしてそれは子どものためになっているのかということを意識するということです。毎日の忙しさやフラストレーションによって、大人は大局的見地を見失ってしまいがちです。

長期的ゴールを心において、子どもにとってどういう親でありたいのか、そして自分のなりたい姿を阻めている心理的·物理的·環境的障害物は何なのかを具体的に考えてみると助けになると思います。

Q10) 最後に、どのような方に著書を読んでいただきたいと思われますか?

島村先生:

本当に子どもとの関わりを変えたいと思っている方、そして自分を変えたいと思っている方に読んでいただきたいと思っています。

理論だから実生活とは関係ないと片付けてしまうのは簡単ですが、そうではなく、実際にどこまで自分の信念レベルにまで落とし込めるか、自分を見直す一歩を勇気をもって踏めるかが、自分と子どもの心の橋を作る鍵だと思います。

声かけの事象がたくさん載っているので実際に声のかけ方に迷っている方にも役に立つと思いますし、それ以上に、自分が抱いている子どもへの偏見や決めつけ、期待値を見直すという原点に返って自分と向き合いたい方に読んでほしいと思いますね。

インタビュアー:

島村先生のメッセージ、本当に大事なところですね。著書のタイトルは「ほめ方 叱り方」にフォーカスしていますが、実際に私たち大人自身がまず考え方、子どもとの向き合い方を真摯に考え、腹落ちして変えていく事が、子どもが子どもらしくそして本来の発達や成長に合った自律した尊厳ある個人に育っていく第一歩であることをインタビューを通じて改めて感じました。

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島村華子先生

英国オックスフォード大学 修士(MSc in Child Development)・博士号取得(PhD in Education)。モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者。
上智大学卒業後、カナダのバンクーバーに渡りモンテッソーリ国際協会(AMI)の教員資格免許を取得。カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、 オックスフォード大学にて児童発達学の修士、博士課程修了。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員養成に関わる。 専門分野は動機理論、実行機能、社会性と情動の学習、幼児教育の質評価、モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育法。

モンテッソーリ教育・レッジョ・エミリア教育を知り尽くした オックスフォード児童発達学博士が語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方 3歳 〜 12歳 の子ども対象 (日本語) 単行本(ソフトカバー)

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<編集後記:後半>
最初島村先生の著書を読ませていただいた際に、私自身落ち込むことがありました。というのも、例えば大人のいう、子どもの困った行動というものはそれは大人が色眼鏡をかけて決め付けていたりまたは大人がその原因を無意識に作り出していたりすることが多いからです。本来どうして子どもがそのような行動をしたいと思ったのか、何を大人として伝えなければいけないのかそれはどうやって伝えるのが良いのかなどじっくり考えず、反射的にそして無意識的にパターン行動をしていたことがありました。著書を通じて、大人の見方が変わると、行動が変わり子どもが本来の姿に戻るというのを改めて感じました。著書にも記載がありますが、モンテッソーリでは、「子どものイメージ=独立した市民・平和の立役者」と定義して子どもたちと接します。私たち大人は「親のなり方」や「子どもの見方」をどこかで習うことはなく、全ては過去の自身の体験や経験に依存していることが多いと思いますが、適切なまたは好ましい子どもとの接し方というのも経験値ベースだけではなく論理的にそして研究にて実証されている考え方があることを、インタビューを通じて多くの方に知っていただければと思いました。

インタビュー記事:島田敦子