今後の上映会の予定共有や実践共有を目的とした、自主上映会に関する Facebook グループはこちら(2023年1月8日現在 1,860名)


本作品の上映会開催、日本全都道府県での1回以上の開催を2021年7月に達成いたしました。多くの皆さまの上映会主催実現への熱意やご尽力に感謝です。

上映会の主催方法はこちらをお読みください


Most Likely to Succeed とは?

「Most Likely to Succeed」 は、「人工知能 (AI) やロボットが生活に浸透していく21世紀の子ども達にとって必要な教育とはどのようなものか?」というテーマについて、「学校は創造性を殺しているのか?」TEDトークで著名なケン・ロビンソン卿、カーンアカデミーのサルマン・カーン氏、ハーバード・イノベーション・ラボ所属の、トニー・ワグナー氏などの有識者や多くの学校取材を2年間積み重ねられ制作されたドキュメンタリー作品です。2015年の公開以来、7000以上の学校や図書館、公民館といった公共施設や、SXSW edu を含む教育カンファレンスなどで上映されています。

米国のカリフォルニア州にある High Tech High というチャータースクールに通う二人の高校1年生の成長を追いかける過程で、日本と同様な受験偏重型教育と、生きる力を身につける実践的な教育のバランスをどう考えるかなど、国は違えど似た状況も多く、教育を取り囲む様々な視点について考えさせられる作品です。親や教育者の悩みに触れ、有識者の意見や子供の変容を受け止めて、我々の置かれた環境を今後どのように変革していくべきかという事を、我々一人一人が自分ごととして考え、その場に集まる仲間と意見交換するという目的で自主上映会を開催しています。

ディスカッションでは、ライフスキル(非認知能力)の重要性について、これからの学校に求められる姿、家庭で取り入れるべきこと、今後のカリキュラムのあり方など、多様な立場の方々が話し合いをすることで、考えを深めています。参加者にとっての気づきも非常に幅が広く、立場や現状により幅の広い感想が毎回みられます。

21世紀型スキルという言葉は日本でも最近言われていますが、実際に学校での取り組みを映像として見たのは今回が始めてでとても刺激を受けました。
— 学校教師
新しい教育のスタイルと既存の教育スタイルの比較とギャップが、現状の仕事に就くための大学入学という現実と併せて描かれていて良かった。
— 教育産業
“既存の教育の強化に賭けるのか、それとも、新しい教育のあり方に賭けるのか、私たちが選択するときなのかもしれないということが印象的でした。”
私達はカリキュラムに捉われがちだが、カリキュラムに従わずともしっかりと成長出来ること。成功、失敗、両方とも。
— 学生

我々が自主作成したあらすじページはこちら。

Most Likely to Succeed 予告編動画

Most Likely to Succeed Trailer- Japanese from Innovation Playlist on Vimeo .(注意:日本語字幕付きですが、映らない場合は、右下の “vimeo”の左側にある “CC” をクリックして、”日本語” を選択して下さい)

FutureEdu Tokyo では、2016年6月の日本初上映会を開催以来、400回以上の上映会を主催、共催、及び開催支援して参りました。上映会参加者のアンケートでは、回答者 (n=644) の87%から5段階評価の5(素晴らしい!是非他の人にも見て欲しい)の回答を頂きました。

参加者アンケートでは、どういう人が見るべきかという質問にも、非常に幅の広い回答があり、未来の教育を作る側、支援する側、そして当事者の誰もが見るべき作品だということがわかります。

Q: 本作品はどのような方が見るべき作品でしょうか?への答え (n=282) ( XX% は、回答者の中で、当てはまると答えた比率)

親:未就学児(60%)、小学校(69%)、中学(63%)、高校(59%)、大学/大学院(41%)

教員:未就学児(54%)、小学校(63%)、中学(70%)、高校(69%)、大学/大学院(55%)

生徒:小学校(34%)、中学(50%)、高校(53%)、大学/大学院(43%)

その他: 文部科学省、経済産業省、図書館員や公務員、役人、政治家、塾、子供のいない夫婦、教育委員会、首長、企業、社員研修、NHKなど


大阪の上映会で話し合われた内容のキーワードは、こちらからご覧ください。非常に濃度の高い対話があったことを感じて頂けるかと思います。

Most Likely to Succeed Japan Community Screening

2020年に学習指導要領が改訂されますが、正に「主体的で対話のある深い学び (アクティブラーニング)」が実践されている本映画の中心となるHigh Tech High の9年生(日本の中3)が遂げる成長や、その成長を支える教育プロセスは、都心の人間だけではなく、全国の皆様に体感して考えるヒントと捉えていただける作品であると確信しております。我々も関東を中心に上映会を主催、共催を続けていきますが、本作品を通じた対話の機会が住む地域に依存しないことを願っており、上映会を各地域で検討されている方を応援しております。自主上映会の主催に関心のある方は、ぜひこちらの「自主上映会を開く方法」の記事をご一読ください。

Most Likely to Succeed を通じて、全国のコミュニティで「待った無しの第四次産業革命時代に、子供達にどのような学びの環境が必要なのか?」という会話がより活性化されることを祈っております。

上映会の事例紹介

松永正樹先生(九州大学 ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター(qrec) )の授業での様子

松永正樹先生(九州大学 ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター(qrec) )の授業での様子

  1. 一般向け上映会: FutureEdu Tokyo で主催している一般向け上映会は、親御さん、教員、教育関係者、学生さんなど、毎回幅の広い方がご参加になり意見交換をされています。参加者によって関心のあるテーマに幅があることを踏まえ、上映会後は、ライフスキル、カリキュラム、学校の深堀、IT 教育についてなど、幅の広いトピックでテーマ別に別れたディスカッションを行なっています。

    • 事例:FutureEdu Tokyo 主催による、一般参加者を広く募集した上映会

      • 狙い:時代の背景の変化についての深い理解とともに、日本と似た受験へのプレッシャーが強い米国にて、テストや記憶偏重型ではない、教科横断型で主体的で深い学びを育む環境に身をおく学生や親御さんの葛藤や成長を知ることで、今後我々が、各自の置かれた立場でどう子供達の成長をサポートすべきかというテーマを、マルチステークホルダーで話し合い、それぞれの参加者にとっての明日へのヒントを提供することを狙いとしています。

      • フォーマット:平日夜7時から10時で、1時間半の上映、そして1時間程のグループディスカッションと全体共有、そして交流タイムを設ける。親御さんの参加を増やしたい場合には、週末の午前中や午後もおすすめです。

      • 議論の様子:グループディスカッションは毎回時間が足りなくなる程盛り上がりますが、1つでも2つでも明日から何かのアクションや意識の変化が起きることを狙いとしています。普段接点の少ない立場の人たちの意見をフラットな環境で聞けるのは、一般上映会の魅力です。大阪でのディスカッションのサマリーはこちら

  2. 教員研修: 米国でも教員研修で、本作品が鑑賞されることは多くあるようですが、教員研修の一環として鑑賞&ディスカッションを行うというものです。

    • 事例:私立小学校や中学校での教員研修や、外部での教員向けのセミナーにて、鑑賞&ディスカッションが今年から始まっております。

  3. 校内上映会: 授業の一環として、本作品を鑑賞し、テーマに応じたディスカッションを行います。

    • 事例:九州大学 ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター(qrec) 松永正樹先生

      • 狙い: 1)九大の外の現実を見て欲しい、2)社会変革は可能だと実感して欲しい、3)これからの大学生活の指針を探って欲しい、という3つの狙いで、映画を授業に取り入れることにしました。

      • 授業での様子: AI 社会の到来についてのゲストレクチャーの次の授業で上映とディスカッションを実施。前回の週がAI社会になることをありありとイメージさせてくれる内容だったこともあり、映画視聴後もみな自分事としてとらえたことが窺える、賛否両論の意見が飛び交いました。

      • 生徒からの感想例(非常に幅のある感想だったので、一部の紹介です):

        • 問い:今日の授業で最も印象に残ったこと、学びは何でしたか?

          • 「学ぶ仕組みが変わってきているということ」

          • 「全員に同じような能力や知識を持たせる、与えるような教育は21世紀になって必要なくなったということが印象に残った」

          • 「HTHの理想っぽいシステムを見て、むしろ今の学校システムの利点や、どこまでをクリエイティブにすることが良いのかなど、様々な疑問が湧いてきた。」

        • 問い:映画での気づきは、あなたの学生生活においてどんな意味を持つと思いますか?

          • 「今まで主体性を持たず、周りの人々に合わせて生きてきた。自分の学生生活を変えなければならないと思った。」

          • 「映像に出てきた生徒たちが持っていた主張する力や、創造性を育むための機会を見つけていく。QRECのような授業、サークル、アルバイトなど、様々なチャンスを生かす。(途中省略)」

          • 「初対面の人でも深い話ができるコミュニケーション能力が必要と思った。」

        • 問い:この学び、気づきを将来に向けてどのように活かして生きますか?次は何を学びますか?

          • 「社会に出たら、映像のような学校、環境で育ってきた人間も周りに出てきて、そういった人々と対等に戦っていくために、大学で、自分が学びたい分野を積極的に学びたいと思った。」

          • 「創造性や協調性、主張する力をつけつつ、それを活かすところを見つけていけば、無駄にならない。活かす場面にはどのようなところがあるのかを考えてみる。」

          • 「HTHでは1つのことに対して深く取り組む。日本やアメリカなどで行われていた従来型の座学で行う苦行に取り組み、ストレスへの対処を学ぶべきと思う(社会に出たら嫌なことも多いと思うから)。」

  4. 保護者向け上映会: 米国で我々も参加しましたが、夜に保護者向けに、先生が上映会を開催され、学校を今後どのように良くしていきたいか、「こういった新しいタイプの教育をどう考えるか」、「学校に取り入れたい要素はあるか」、「子育てで活かせるヒントはあるか」などのディスカッションがされています。

  5. 若者向け上映会:

    • 事例:「成功」についての定義を考えるワークショップ

      • 狙い:次世代を担う学生を中心に「Success」あるいは「成功」とは何を意味するのかを「現実の最前線」に着目し、私たちがどのように新たな一歩を踏み出していけるのかを上映前後にワークショップをすることで共に考える。

      • 当日の様子:中学生から若手社会人が中心に、大人も一部混じり、自分にとっての成功、社会から期待されている成功、そして、映画を見て考える、これから目指したい成功や、その成功へのステップについて盛んな対話がされました。普段おとなしい青年も、グループ発表を行ったり、みなさん当事者意識高く積極的に参加をされていました。

  6. コミュニティ向け上映会: 米国では図書館でも数多く上映されていますが、地域コミュニティで子供の未来を考えるというテーマなどで鑑賞&ディスカッションが行われています。

  7. 社内上映会: 社内にはたくさん親御さんもいらっしゃるということで、会社内でのイベントでの上映会も実施されています。日本では、教育系企業の社内研修の一環としても上映会の実績があります。

我々主催の上映会後のディスカッションの様子はこちらのの動画をご参考ください。毎回熱い議論で盛り上がっております。

2月21日に、International School of Science プロジェクトさんと一緒に第7回の"Most Likely to Succeed"上映会を行いました。本映画は、サンダンスを始め、26近くの映画祭でも公式作品となった、最高峰の教育ドキュメンタリー映画で、FutureEdu ...


Most Likely to Succeed:  参考資料

STEAM / PBL 教育実践ガイド動画:映画の舞台の High Tech High の先生方や、High Tech High と共同開催した PBL 研修の参加者の先生方のコメント入りの動画です。

3分バージョン

14分バージョン

FutureEdu Tokyo の竹村と吉川が、本映画の舞台となる High Tech High を2016年春に訪れた時の訪問レポートはこちら。

Books

Most Likely to Succeed のエグゼクティブプロデューサー、テッド・ ディンタースミス氏と、映画にも出てくるハーバード大学、イノベーションラボのトニー・ ワグナー氏共著の "Most Likely to Succeed" に続き、ディンタースミス氏が全米200校を訪問した旅を通じた気付きから、現在の米国教育の課題と可能性についてまとめた本が発刊されました。

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Most Likely to Succeed Book

Tony Wagner  (著), Ted Dintersmith(著)

2018年4月に発売された新刊 "What School Could Be" クリックしてアマゾンで見る

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What School Could Be

Ted Dintersmith(著)

関連記事:

What School Could Be 日本語書評: http://bit.ly/WSCBreview