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ミネルバ大学の学生との対話から感じた、未来のリーダー像

創業者のベン・ネルソン氏とのインタビューへのアクセスが今も多く、関心の高さが伺われるミネルバ大学ですが、彼らが学生と、教職員、パートナー団体・企業、社会人メンター、そして合格者の学生に向けて開催をしている CIVITAS というイベントにご縁があり参加してきました。Intergenerational (世代を超えた)交流や、出会いからアクションに繋げて欲しいという目的の本イベントは、高校生から退職後のエグゼクティブまでという参加者の幅があり、世代を問わずアクションを起こしていこうというエネルギーに溢れる時間でした。

サンフランシスコのアーティスティックな雰囲気あふれるカルチャーセンターで行われたこの半日の会、CVITAS に参加して感じた、未来のリーダーを嘱望されるミネルバ大学の学生像をレポートします。

特徴1:謙虚だが好奇心が旺盛

2.8%の合格率で、プリンストンなどアメリカのトップ大学を断って入学をする学生もいるという本大学の学生というのはどんな人達なのかと興味津々でしたが、「どうして自分がこの大学に入れたのか分からないが、とても満足している」という謙虚な姿勢の学生が多く驚きました。最近日本のエリート大学生の驕りとも思える不祥事が取りだたされたりしてますが、彼ら、彼女達に上から目線な様子は全く感じられませんでした。逆に、「大学四年間で七都市に住むことで、本当に住みやすい都市を一から作りたい!」「ブラジルの教育格差をなくしたい!」「この大学で世界の異なる視点を理解することで自分を成長させたい」など大きな夢のステップとしてこの大学への進学を決めたという好奇心が旺盛な学生像が見られました。

また、卒業後医学部を目指す女子学生がいたことも驚きでした。何故入学を決めたのかを聞いてみると、「まずミネルバでグローバルなリベラルアーツの教育を受けてから医学部に進学する予定、大学には実験施設がないからサマーインターンで実験の経験を積まなきゃいけないんだけどねー」との発言。日本のように、社会との接点が薄い高校卒業の時点で医学部生としての道を歩まなくてはいけない状況と比べると、より幅の広い経験を積んでから医学部に進むという選択肢を選んだ彼女の姿勢と好奇心に感激しました。

特徴2:幅広い視点を踏まえて議論することに慣れている

ミネルバ大学では、18名程度の少人数でのアクティブラーニングフォーラムというオンライン学習で授業が進められますが、この授業で生徒が全員発言を求められることもあり、20名程度のオープンディスカッションでも非常に多様な視点での議論が行われました。私の出席したディスカッションの一つでは、「リーダーは結果を出していれば倫理性に問題があってもよいのだろうか?」というテーマでの議論がありました。私や他の社会人が投げかける意見にもしっかりと随時意見を返し、ブラジル、中国、イギリスなど多様な文化的視点や、ジェンダー的な視点も含めたディスカッションで、結論はでないままあっという間の一時間。こちらも学生さんの意見から学ばせていただいたひと時でした。

学生さんの話では、授業のあとも寮で、授業で終わらなかった議論の続きをすることもしばしばなのだと。自分の学生時代を考えると本当にすごいなぁと関心させられました。

特徴3:社会インパクトを重視した行動力

高校生時代から、貧しい人々のためにファンドレイズをするコンサートを実施したり、漁業に携わったり、起業家精神旺盛な1年生によるスピーチ。

今回のイベントもそうですが、ミネルバ大学では、クラブ活動や外部パートナーとの放課後プロジェクトも生徒がリーダーシップをとっています。また入学前にケニヤでの食糧難の家族へのファンドレイズ活動や、南アフリカでプログラミングスクールを運営していたという高校時代から積極的に目標を見つけてアクションを取っていた学生もいました。

学期中の外部団体との共同プロジェクトも、市のイノベーションに関わることや、公共デザインを考える、街にオペラを、など公共性の高いプロジェクトが多いことも非常に特徴的でした。アメリカのミレニアム世代の中では「Social Entrepeneur (社会起業家)」になることは流行りすぎていて言葉自体が若干敬遠されがちと聞いていましたが、CIVITASに参加している学生の社会変革への本気度には私もとてもインスパイアされました。

本イベントでも、私や大人にも積極的に声をかけ、CIVITASでの出会いを何かに繋げたいという貪欲さが伺われました。学校の雰囲気もあり、行動することの大切さが大学の文化として浸透しているようです。世界で活躍していくには、こういった自主的な行動力が必須なのだなと再認識する一日でした。

日本の高校生・大学生へ贈りたいメッセージ

USCから転校してミネルバ大学に入学した学生による2分トーク

日本は敬語カルチャーもありどうしても大人に一線を引くところがあると思いますが、CIVITASに参加してみて、世代を超えた交流の持つ力の大きさを感じました。日本でも斜めの関係という少し目上の第三者と関わる動きはありますが、年齢も社会的地位も相当高い人たちとも臆せず交流をする学生さんの姿はとても頼もしく感じられました。実際に、私も30名ほどの学生と話す機会がありましたが、ソーシャルインパクトに関心の強い女子学生の一人からは手書きでメッセージの入った挨拶状をもらうなど、嬉しい積極性を垣間見ることもできました。日本でも、未来の世代を応援したいという人たちは多くいます。趣味や関心のある活動を通じてどんどん大人との接点も持てると、社会に出るときの自分をイメージしやすくなると思うので、是非積極的に機会を増やしていって欲しいものです。

また、今の社会課題は地球規模の問題が大きいということに、世界の一流大学の学生は気づいています。ゴミ、資源、貧困、教育など日本の持つ技術や人材、アイデアで解決できることは沢山あります。日本だけではなく世界に目を向けた情報収集やアクションにつながる活動を、身近なところから始めてみてください!

DIY のイベントロゴ

Written by Emi Takemura

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