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ホーム・スクーリング体験記 第一回

いろいろ思うところがあって中学生の娘を秋からホーム・スクーリングすることにしました。いつまで続くか分かりませんが、Future Eduの場を借りて我が家のちょっとした冒険を皆さまとシェアできたらと思います。

娘が小学生の頃から何度かホーム・スクーリングを検討したことがありますがその都度、学校に通ったほうが娘に合った教育環境が整っているという判断で学校に通うことを選択してきました。小学生の最大の学習課題は読み・書き・計算で、それが出来ないことには自分で調べものをしてまとめることすらできません。親が見てやればあっという間に出来るようになりますがそのためには相当時間付き合ってやる必要があり、親が働ていると物理的に難しいという事情もありました。

それに小学生時代の娘の学校生活は毎日とても充実していました。自分がやりたいことを思う存分満足が行くまでとことんやる...の繰り返し。小学校2年生のとき作文に「たいへんhard workをしたあとおわったというきもちがすき」と書きました。学ぶことで得られる内なる達成感を娘はいつも大切にしています。

ところが中学生になると"自分がやりたいこと"を、"思う存分満足が行くまでやる"ことが出来なくなりました。グループワークや締切が導入されて時間が足りなくなってしまったのです。やりたくないことを優先して、満足が行く出来栄えよりも締切優先で終わらせる日々。運よく一日の最後に自分のしたいことにやっと着手できても思う存分する時間はまるでありません。次第に知的好奇心が衰えていく娘を見て、どうやったらもっと時間を捻出できるか...と考えたとき遂ににホーム・スクーリングという選択肢にたどり着きました。

本当は学校が週2日ぐらいだったらちょうど良いのですが、拘束時間があまりに長すぎます。様々な技術の進歩で、掃除、洗濯、調理、調査、集計、事務処理、通信、移動、あらゆる日常生活の場面で"やらなくていいこと"が増え、古いやり方が新しい合理的なやり方に置き換わって時間が短縮されたのに、子供たちはその恩恵にほとんどあやかっていません。むしろ、古い慣習はそのままに新たにやるべきことが加えられてさらに忙しくなっている感すらあります。

3か月間ぐらいクヨクヨと悩んでいたのですが、1)学問は学校以外でも様々な学習機会がありどこでもできる。2)友達とはいつでも会える。3)学校行事のみトレードオフで諦めなければならないが、かわりに学校へ通っていたら出来ない経験が出来る、と思い至りました。

社会の有り様が変わり、今、既存の学校制度が様々な角度から見直されています。意欲ある先生方のお力で学校が少しずつ変わってきていますが社会の変化のスピードが速く、娘も未来も、未来の学校が出来るまで待てません。中学生以降は本人に動機があればほとんどのことを自分で出来るので親が絶えず付き添う必要はありません。むしろ親が適度に働きに出ているほうが丁度よいぐらいです。また、今までは組織に属していないと出来なかったようなことが、ここ数年で個人でも容易に出来るようになりました。本人の成長と学ぶための環境が整い、ホーム・スクーリングを可能にする機が熟してきたと感じています。

"中学生"という属性がなくなることへの不安はありますが、ホーム・スクーリングが合わなかったらまた学校へ戻ればいい、学年相当に編入できればそれもよし、現在の学年をもう一年やるもよし、と考え取りあえずやってみようということになりました。私自身、親の転勤の合間にどこの学校にも属さかったり、無職の期間があったりとモラトリアムを何度か経験したことがあります。ずっと肩の荷を負わされた状態に慣れると肩書がなくなることに対して不安になる人もいますが、ホーム・スクーリングを通じて誰からも管理されない一個人に戻ったときの身の振り様を経験しておくと、今日の不安定な社会の不確実な変化に対応しやすくなるのではと思っています。

子育ては日々フロンティア。試行錯誤です。批判から応援までどうぞお気軽にコメント下さい。

(by ホーム・スクール ママ)

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