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映画「僕と世界の方程式」から紐解く未来型教育とは

講談社「Rikejo」による映画「僕と世界の方程式(A Brilliant Young Mind)」公開前イベントに15歳の帰国生の娘と行きました。

ゲストには、日本人女性初の「国際数学オリンピック」金メダリストである数学者&ジャズピアニストの中島さち子さんがいらして、映画に登場する数学の解き方やバッハの音楽の解説をしてくださったので、とてもわかりやすく鑑賞することができました。また、ギフテッドの親たちの悩みだったり、いろいろ考えさせられることがある作品でした。

本作品から教育という観点で感じたポイントを3点紹介します。

1:音楽の重要性

私はアメリカのペースメソッドでの音楽教室を主宰しているので、音楽と数学にある美学の話について、映画でも触れられていたことにとても感動しました。日本でも普及が始まっている国際バカロレア(IB)カリキュラムでも、芸術は大切な学習科目と位置付けられています。また歴史を辿れば音楽はリベラルアーツ7科目の1つです。

2:国際大会はもっと身近であるべき

「わが子が国際大会に出たり、世界のライバルと競う機会なんてありえない」と思われるかもしれませんが、多様化の今の時代では、国内の大学でも多様な国の留学生が集まっており、海外に行かずとも国際化の波にはかかわっていく時代です。国技である大相撲ですら、日本人の横綱が19年ぶりということも一つの国際化の流れの象徴ですので、国際大会という表現はものものしいですが、どんどん身近な存在になりつつあります。

 

とはいえ、実体としては日本の学生にはまだまだ遠い存在というのは、参加者の数が表しています。国際数学オリンピックでは、アメリカ、中国、韓国がおもに上位を占めているそうですが、その理由は、アメリカや中国では学校全体で選抜するので、参加する母数が圧倒的に多いからだそうです。

3:女子の数学離れをどう防ぐ?

また女子は数学が苦手という間違った認識が世の中にはありますが、その仮説をサポートするかのごとく、世界的に見て女子の入賞が10分の1程度になることが論じられていました。日本に至っては、女子の入賞は100分の1という惨憺たる状況です。女子は「失敗を怖れる」とか「無謀と思われるラインで引き下がる」というような性差が関係するようですが、科学的には、女子の方が数学ができないという科学的根拠は無いので、これからの巻き返しに期待したいものです。

講談社「Rikejo」では、数学オリンピックを含む国際7大会の日本人女子の参加を促すため今回のイベントを主催されたそうですが、映画自体は「世界にはどんなティーンがいるの?」「数学オリンピックって何?」という好奇心だけでも親子で充分楽しめる内容でした。

4: 国際交流=英語では無い

他には、国際交流という点では、映画では問題文に使用される英語のほか、イギリス人の主人公が中国人の学生と中国語を話す場面が出てきます。前回のコラム「マルチリンガルで世界を渡り歩く子どもたち」でも触れましたが、日本では英語教育ばかりが盛んですが、世界では多言語が必要になっている時代です。タイムリーに帰国生の娘も中国人の同級生から中国語を教わってきていたので、私も英単語のアプリに加えて中国語のアプリをいじったり、家庭で中国語を使っているところでした。

日本のママたちが世界一になるためのコミュニティ「MamaBA(ママビーエー)」では、世界で子育てしている日本のママたちのグローバル教育交流会も開催しています。これからも「日本でママになれて良かった」と思えるグローバル教育情報をご紹介していきますので、どうぞお楽しみに。

* 海外の音楽教育ライブレポート: http://www.piano.or.jp/report/04ess/livereport/2015/12/21_20414.html

 

著者プロフィール

平山 佐知子

東京都港区にて会社経営。音大卒業後、プログラマ、国際会議の運営と音楽プロモーターに携わる。3児と10カ国の海外旅行を経験。日本のママ目線で、グローバル教育の執筆や講演。MamaBA リードオーガナイザーとして、数々の教育関係のイベントも主催。

日本大学藝術学部音楽学科作曲コース卒業|アメリカのペースメソッド音楽教室主宰|全日本スキー連盟インストラクター